2024年11月2日に幕張イベントホールで開催されたV.W.P 2nd ONE-MAN LIVE「現象Ⅱ(再)-魔女拡成-」。TOBIDASEは、ライブの世界観をステージ上だけで終わらせず、渋谷の街と幕張の会場周辺でV.W.Pメンバーを探せるロケーションARを制作しました。
出典:神椿幕張戦線公式サイト・TOBIDASE制作記録
企画上の課題:ライブの前後まで世界観を途切れさせない
バーチャルアーティストのライブでは、ステージ上の映像や演出だけでなく、会場へ向かう時間や開演を待つ時間もファン体験の一部です。今回の課題は、V.W.Pのキャラクターと世界観を現実の場所へ自然に重ね、ファン自身が探し、見つけ、撮影して参加できる体験へ変えることでした。
同時に、街中や大規模イベント会場では、ARの表現だけでなく、どこで起動するのか、どの端末で使えるのか、周囲の通行を妨げないかまで考える必要があります。体験の面白さと現地運用を一つの導線として成立させることが重要でした。
対策1:渋谷のポスターを「会いに行く場所」に変える
渋谷ポスタージャックでは、街中5カ所のイベントポスターに合わせてV.W.Pメンバーを配置。告知を見るだけだったポスターを、スマートフォンをかざすとメンバーが現れるARスポットへ変えました。
ファンが複数の場所を巡る理由が生まれ、ライブの告知とAR体験を分断せずに届けられます。実在するポスターとキャラクターの位置・大きさを合わせ、現実の風景の中にメンバーが立っているように見えることを重視しました。


対策2:幕張では「5人を探す」AR探検に
ライブ当日の幕張では、公式サイトに5つの専用URLと設置場所のマップを掲載。参加者は①〜⑤から体験を選び、スマートフォンのカメラを使ってV.W.Pメンバーを探します。
一つ見て終わるARではなく、5人を探すコンプリート要素を加えることで、会場周辺の移動と待機を遊びに変えました。「#現象2再」を付けて情報を共有する案内も用意され、見つけた体験をファン同士で共有できる設計です。
- 公式サイトでAR設置マップと①〜⑤の体験を確認する
- 体験したいメンバーの専用URLを開く
- 案内された場所でカメラを起動し、周囲へかざす
- 現実空間に現れたメンバーを見つけ、撮影する
- ほかの参加者と情報を共有し、5人のコンプリートを目指す
対策3:混雑する現地で迷わせない運用設計
ロケーションARは、作品が完成していても、現地で起動できなければ体験になりません。幕張AR探検では、場所ごとにURLを分け、マップ、起動手順、対応端末、ブラウザ条件を公式サイト上で案内しました。
また、入場待機中の参加者や一般の通行を妨げないこと、交通状況に影響する場合は施策を中止する可能性も明記。ARの見せ方だけでなく、参加者が安全に立ち止まり、迷わず起動できる状態までを現地体験として考えています。
成果:公式イベント施策として渋谷・幕張へ展開
制作したロケーションARは、渋谷ポスタージャックと「現象Ⅱ(再)幕張AR探検」の施策として公開されました。デジタル上で活動するV.W.Pメンバーを現実の街やライブ会場周辺へ出現させ、ライブを「観る」だけでなく、自分で探して参加する体験へ拡張しています。
確認できる成果:渋谷・幕張での実施、V.W.Pメンバー5人を探す体験、5つの専用URL、ハッシュタグを使った共有導線。公開されていない体験数や投稿数は成果として記載していません。
音楽イベントのARを、当日の導線から設計する
この事例で重視したのは、キャラクターを表示すること自体ではなく、ファンが会場へ向かい、場所を探し、撮影し、共有する流れをイベント体験に組み込むことでした。ライブ、展示会、商業施設など、場所と時間が限られる施策でも、企画、AR制作、起動導線、現地運用まで一貫して設計できます。