結論を3行で

ARキャンペーンは、派手な演出案より先に「体験後の行動」を決めると企画がぶれません。この記事では、社内メモや制作相談に転記できる形まで分解します。

ARキャンペーン企画を目的・体験・導線・KPIの順で組み立てる要点図
企画の出発点は技術ではなく目的。目的から体験・導線・KPIを一本につなぎます。
  • 最初に決めるのは「認知・UGC・来店・購買」のどれを主目的にするか。目的を1つに絞ると、体験内容とKPIが自然に決まります。
  • 企画書は「誰に・どこで・何をして・次にどう動いてほしいか」を1枚にまとめれば、社内決裁と制作見積もりの共通言語になります。
  • 公開後に評価できるよう、起動数だけでなく体験完了・投稿・来店・商品ページ遷移など目的に近い計測点を公開前に置きます。

ARキャンペーンの企画は、ARで何を見せるかではなく、体験後に誰をどこへ動かすかから逆算します。 これはWebAR、TikTokなどのSNSエフェクト、会場限定ARのどれにも共通する原則です。

3.5億回ARエフェクトの累計再生実績
200万回はてな新曲TikTok施策の合計再生
78m下田・黒船ARの原寸再現
出典:TOBIDASE自社実績・クライアント案件記録(2026年7月時点)

目的別4テンプレート|認知・UGC・来店・購買

同じARでも、目的が違えば入口、演出、出口、追う数字は変わります。まずは4つの型から最も近いものを選び、他の目的は副次効果として扱ってください。

認知・UGC・来店・購買の4目的に対応するAR体験とKPIを整理したマトリクス
4目的の違いは、ユーザーに求める次の行動と、成功を判定するKPIに表れます。
主目的ユーザーに求める行動向くAR体験主KPI
認知見る・覚えるSNSエフェクト、短時間の驚き演出再生数、リーチ、体験開始数
UGC撮る・投稿する変身、診断、ゲーム、フォトフレーム投稿数、投稿率、二次再生数
来店現地へ行く・回る現地限定AR、スタンプラリー、位置連動現地起動数、地点到達、完走率
購買商品を見る・買うパッケージAR、試着、限定特典、商品理解商品遷移、クーポン利用、対象売上
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主目的は1つ、副目的は1つまで「認知もUGCも来店も購買も」を同じ強さで追うと、参加手順が増え、何をもって成功とするかが曖昧になります。主目的を1つ、副目的を1つまでにすると判断が速くなります。

認知:見た人を増やす

企画文:「新商品を知らない20〜30代に、3秒で意味が伝わるAR演出をSNS上で体験・視聴してもらい、発売週の指名検索と動画リーチを増やす」。認知型は一目でブランドや商品の特徴が分かることが最優先です。操作説明を読ませるより、起動直後に変化が起き、他人の投稿を見ただけでも内容が伝わる設計にします。

入口:SNS投稿・広告・公式アカウント。出口:ブランド検索、商品ページ、次の動画。避ける設計:説明が長い、ロゴが体験の最後にしか出ない、ユーザー本人しか面白さが分からない演出。

UGC:撮って投稿してもらう

企画文:「楽曲や商品のファンが、自分らしい結果を残せる15秒以内のARを撮影し、指定の投稿導線から共有する」。UGC型では、撮影者が主役になること、結果に個体差があること、撮り直したくなることが効きます。診断結果、スコア、変身、歌詞・音源との同期は投稿の理由を作りやすい型です。

はてな新曲のTikTokエフェクト実画面2種と3Dキャラクターが踊る動画サムネイル
はてな新曲プロモーションでは、動画とTikTokエフェクトを連動させ、3パターンの公式動画で合計約200万回再生を記録。素材転用と2週間の並行制作が短納期にも寄与しました。事例詳細

入口:音源・公式投稿・ファンコミュニティ。出口:撮影、下書き保存、投稿。主KPI:エフェクト利用数だけでなく投稿数と投稿率、投稿から生まれた再生。避ける設計:顔や姿が隠れすぎる、完成までが長い、投稿規約やハッシュタグが分かりにくい。

来店:現地へ行く理由を作る

企画文:「イベント来場者が会場の3地点を回り、各地点だけで見られるARを集め、最後に限定演出を解放する」。来店型では、ARそのものより「その場所でしか成立しない理由」が重要です。景観、展示物、店舗商品、出演者、土地の物語と結びつけると、単なるQR読み取りから現地体験へ変わります。

下田港内めぐりARの体験フローを示す実施案件の企画資料
下田港内めぐりARは、航路上で全長78mの黒船を原寸再現し、現地の景観と航行体験をARの物語に組み込みました。事例詳細

入口:会場入口、店頭POP、チケット、事前告知。出口:次の地点、館内回遊、店舗利用。主KPI:来場者数だけでなく現地起動率、地点別到達、完走率。避ける設計:電波が弱い場所で重いデータを読む、案内サインが見つからない、スタッフが体験方法を説明できない。

購買:商品を手に取る理由を作る

企画文:「売場で商品を見つけた人が、パッケージやPOPからARを起動し、使用イメージや限定体験を確認した後、購入・クーポン利用へ進む」。購買型は、ARを見せること自体ではなく、購入前の不安を減らすか、購入後の特典価値を増やすかを明確にします。

入口:パッケージ、棚前POP、EC商品ページ。出口:購入、商品詳細、クーポン、会員登録。主KPI:商品ページ遷移率、クーポン利用、対象商品の売上や購入者アンケート。避ける設計:購入前に必要な情報より演出が長い、対象商品が分からない、特典条件が後出しになる。

企画書にそのまま使える10項目

アイデアを社内決裁と制作見積もりに進めるには、体験の面白さだけでなく、対象、導線、期間、計測、運営まで同じ紙面に置きます。以下の10項目が埋まれば、制作会社から具体的な代替案や概算が返りやすくなります。

ARキャンペーン企画書の10項目を目的・体験・実行・評価に分けた図
企画書は目的、体験、実行、評価の4ブロックで整理すると、決裁者と制作側の確認点が揃います。
項目書く内容判断できること
1. 背景・課題何が不足し、なぜ今やるか施策の必要性
2. 主目的認知・UGC・来店・購買から1つ体験の方向
3. ターゲット誰が、どの場面で触れるか媒体と表現
4. インサイト参加する理由・避ける理由参加ハードル
5. 体験概要起動後に起きることを1文で必要な機能
6. 参加導線発見から次の行動まで告知物と画面
7. KPI主KPI・補助KPI・目標値計測要件
8. 期間・会場公開日、会期、対象場所制作・テスト日程
9. 素材・権利ロゴ、画像、3D、楽曲、肖像制作工数と許諾
10. 予算・体制予算幅、決裁者、現場担当実現範囲と進行

コピー用テンプレート

次の文章を埋めるだけでも、初回相談に必要な情報が揃います。

【背景】__という課題があるため、【主目的】__を達成したい。対象は【ターゲット】__で、【入口】__からARを起動し、【体験】__を行った後、【次の行動】__へ進んでもらう。主KPIは【指標】__、目標は【数値】__。公開希望日は【日付】__、使える素材は【素材】__、予算は【範囲】__。

制作工程と相談時期を詰める段階ではAR制作の依頼の流れ、費用の幅を確認するときはAR制作の費用相場をあわせて使うと、企画と発注条件を切り分けられます。

参加導線は「発見→起動→体験→次の行動」で設計する

ARの制作範囲だけを企画すると、会場や売場で「どこから始めるのか分からない」、体験後に「次に何をすればよいか分からない」という穴が残ります。導線は4区間に分け、各区間で1つだけ行動を求めます。

ARキャンペーンの参加導線を発見・起動・体験・次の行動の4段階で示した図
ARの前後を含む4段階を設計し、各段階の離脱理由を1つずつ減らします。
区間ユーザーの疑問企画側が用意するもの
発見何ができるのか3秒で読める見出し、完成イメージ、開催条件
起動安全か、面倒ではないかQR、対応端末、通信案内、短い操作説明
体験何をすれば成功か最初の1アクション、進捗表示、撮り直し
次の行動体験後に何が得られるか投稿、次地点、商品、クーポンへの単一CTA

起動前と体験後を設計する

起動前の告知では、ARという技術名より「誰と何が撮れる」「ここでしか見られない」「集めると何が起きる」を先に見せます。体験後の画面には、主目的に直結するボタンを1つ置きます。UGC型なら撮影・共有、来店型なら次地点、購買型なら商品詳細やクーポンです。

Webサイトへ遷移させる場合は、QRや告知チャネルごとにUTMを分け、少なくとも流入元・媒体・キャンペーン名を統一命名しておくと、同じ体験でも入口別に成果を比較できます。

運営現場まで含めて企画する

イベントや店舗では、制作物より現場対応が成果を左右することがあります。開場前に実機テストを行い、QRが照明で反射しないか、立ち止まっても通行を妨げないか、通信が弱い場所はないかを確認します。スタッフ用には「起動できない」「カメラ許可を拒否した」「景品条件が分からない」の3つに答える短い手順書を用意します。

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現地テストは本番と同じ条件で制作会社の高速Wi-Fi環境で動くことと、会場の混雑時間帯に来場者の端末で動くことは別問題です。設置位置、照明、通信、端末、スタッフ説明を本番条件で確認します。

KPI・予算・スケジュールを同時に決める

KPIだけを後付けすると、必要なログが取れないことがあります。反対に、取り得る数字をすべて並べても意思決定には使えません。主目的に近い主KPIを1つ、原因を分析する補助KPIを2〜4つ選び、計測と制作の見積もりを同時に固めます。

目的別KPIと予算・スケジュール・計測要件の関係を示す図
目的に近い主KPIから逆算し、ログ実装、制作範囲、公開日を同じ計画に置きます。
目的主KPI補助KPI確認したい比較
認知ユニークリーチ再生完了、指名検索、体験開始告知チャネル別
UGC投稿数・投稿率撮影完了、保存、二次再生演出・音源別
来店現地起動・到達地点別通過、完走、滞在場所・時間帯別
購買購入・クーポン利用商品遷移、体験完了、会員登録対象商品・入口別

計測点を先に置く

基本のファネルは「表示またはQR接触→AR起動→体験開始→体験完了→CTAクリック→目的行動」です。すべての人数を同じ方法で識別できるとは限らないため、企画書には計測できる値、推計になる値、外部システムから受け取る値を分けて書きます。例えば来店は現地限定QRの起動で近似し、購買はクーポンコードやEC側のキャンペーン計測と結びます。

より詳しいKPIの考え方はARマーケティングのKPI設定と計測手法で解説しています。ここでは、制作着手前にイベント名と計測条件を決め、公開前テストでログが実際に届くことまで確認してください。

予算・期間・権利のチェック

当社実績では、SNSエフェクトは15万円〜、WebARフォトフレームは20万円〜、標準納期は内容により2週間〜2ヶ月が目安です。ただし、3D素材の新規制作、地点数、管理画面、抽選、外部システム連携、監修回数で大きく変わります。イベント日が固定なら、告知物の入稿と現地テストを含めてARイベント活用の全体設計から逆算してください。

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景品・個人情報・権利は企画段階で確認購入・来店に付随する景品は景品表示法の条件確認が必要です。応募フォームで個人情報を直接取得する場合は、送信前に利用目的を明示できる設計にします。楽曲、タレント、キャラクター、投稿の二次利用も、権利者・法務と最新条件を確認してから制作へ進めます。

よくある質問

企画初期に止まりやすい判断を、目的・媒体・予算・計測の4点に絞って回答します。

ARキャンペーン企画でよくある4つの質問を整理した図
迷ったときは、主目的、ターゲットの接点、予算幅、計測可能性の順に判断します。

Q. 目的は複数設定してもよいですか?

A. 設定できますが、主目的は1つに絞ってください。例えば「来店を主目的、UGCを副目的」と決めると、現地起動数を主KPI、投稿数を補助KPIにできます。両方を同列にすると、現地限定性と投稿しやすさのどちらを優先するか決められません。

Q. WebARとSNSエフェクトはどう選びますか?

A. ターゲットが普段使う接点と、体験後の行動で選びます。SNS内で認知・UGCを広げたいならSNSエフェクト、店頭・イベント・パッケージ・ECからアプリ不要で起動させたいならWebARが基本です。両者の違いはTikTokエフェクトとWebARの使い分けも参考にしてください。

Q. 企画段階で予算が未定でも相談できますか?

A. 相談できます。「上限30万円」「50万円前後」「100万円以内」など幅だけでもあると、既存素材の活用、演出数、地点数、計測機能の優先順位を提案できます。予算が完全に未定なら、主目的、公開日、使える素材の3点を先に共有してください。

Q. 効果測定はどこまでできますか?

A. AR側では起動、体験開始、完了、ボタン押下などを設計できます。SNS投稿、来店、購買はプラットフォームや店舗・EC側のデータと組み合わせます。個人を無理につなぐのではなく、チャネル別URL、クーポン、地点別QRなど、目的に合う比較可能な単位を決めるのが実務的です。

まとめ:1枚の企画メモから始める

ARキャンペーン企画に必要なのは、最初から完成した仕様書ではありません。目的、ターゲット、入口、体験、次の行動、KPI、公開日、素材、予算幅を1枚に置けば、何を作るべきか、何を削るべきかを話せる状態になります。

ARキャンペーン企画を目的決定・テンプレート記入・制作相談の3ステップで始める図
目的を1つ選び、10項目を埋め、制作相談で実現方法と見積もりへ落とし込みます。
  1. 主目的を1つ選ぶ:認知・UGC・来店・購買のどれを変えたいか決める
  2. 10項目を埋める:空欄は空欄のまま、分かる条件だけを1枚にまとめる
  3. 実現方法を比較する:SNSエフェクト、WebAR、現地演出から最小構成を選ぶ

TOBIDASEでは、4億回のARエフェクト再生実績とイベント・観光・音楽案件の経験をもとに、企画整理から制作、現地テスト、効果測定まで支援しています。まだ体験案が固まっていなくても問題ありません。上のテンプレートで分かる範囲を添えて、お問い合わせフォームからご相談ください。

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