結論を3行で
ARキャンペーンは、派手な演出案より先に「体験後の行動」を決めると企画がぶれません。この記事では、社内メモや制作相談に転記できる形まで分解します。

- 最初に決めるのは「認知・UGC・来店・購買」のどれを主目的にするか。目的を1つに絞ると、体験内容とKPIが自然に決まります。
- 企画書は「誰に・どこで・何をして・次にどう動いてほしいか」を1枚にまとめれば、社内決裁と制作見積もりの共通言語になります。
- 公開後に評価できるよう、起動数だけでなく体験完了・投稿・来店・商品ページ遷移など目的に近い計測点を公開前に置きます。
ARキャンペーンの企画は、ARで何を見せるかではなく、体験後に誰をどこへ動かすかから逆算します。 これはWebAR、TikTokなどのSNSエフェクト、会場限定ARのどれにも共通する原則です。
目的別4テンプレート|認知・UGC・来店・購買
同じARでも、目的が違えば入口、演出、出口、追う数字は変わります。まずは4つの型から最も近いものを選び、他の目的は副次効果として扱ってください。

| 主目的 | ユーザーに求める行動 | 向くAR体験 | 主KPI |
|---|---|---|---|
| 認知 | 見る・覚える | SNSエフェクト、短時間の驚き演出 | 再生数、リーチ、体験開始数 |
| UGC | 撮る・投稿する | 変身、診断、ゲーム、フォトフレーム | 投稿数、投稿率、二次再生数 |
| 来店 | 現地へ行く・回る | 現地限定AR、スタンプラリー、位置連動 | 現地起動数、地点到達、完走率 |
| 購買 | 商品を見る・買う | パッケージAR、試着、限定特典、商品理解 | 商品遷移、クーポン利用、対象売上 |
認知:見た人を増やす
企画文:「新商品を知らない20〜30代に、3秒で意味が伝わるAR演出をSNS上で体験・視聴してもらい、発売週の指名検索と動画リーチを増やす」。認知型は一目でブランドや商品の特徴が分かることが最優先です。操作説明を読ませるより、起動直後に変化が起き、他人の投稿を見ただけでも内容が伝わる設計にします。
入口:SNS投稿・広告・公式アカウント。出口:ブランド検索、商品ページ、次の動画。避ける設計:説明が長い、ロゴが体験の最後にしか出ない、ユーザー本人しか面白さが分からない演出。
UGC:撮って投稿してもらう
企画文:「楽曲や商品のファンが、自分らしい結果を残せる15秒以内のARを撮影し、指定の投稿導線から共有する」。UGC型では、撮影者が主役になること、結果に個体差があること、撮り直したくなることが効きます。診断結果、スコア、変身、歌詞・音源との同期は投稿の理由を作りやすい型です。

入口:音源・公式投稿・ファンコミュニティ。出口:撮影、下書き保存、投稿。主KPI:エフェクト利用数だけでなく投稿数と投稿率、投稿から生まれた再生。避ける設計:顔や姿が隠れすぎる、完成までが長い、投稿規約やハッシュタグが分かりにくい。
来店:現地へ行く理由を作る
企画文:「イベント来場者が会場の3地点を回り、各地点だけで見られるARを集め、最後に限定演出を解放する」。来店型では、ARそのものより「その場所でしか成立しない理由」が重要です。景観、展示物、店舗商品、出演者、土地の物語と結びつけると、単なるQR読み取りから現地体験へ変わります。

入口:会場入口、店頭POP、チケット、事前告知。出口:次の地点、館内回遊、店舗利用。主KPI:来場者数だけでなく現地起動率、地点別到達、完走率。避ける設計:電波が弱い場所で重いデータを読む、案内サインが見つからない、スタッフが体験方法を説明できない。
購買:商品を手に取る理由を作る
企画文:「売場で商品を見つけた人が、パッケージやPOPからARを起動し、使用イメージや限定体験を確認した後、購入・クーポン利用へ進む」。購買型は、ARを見せること自体ではなく、購入前の不安を減らすか、購入後の特典価値を増やすかを明確にします。
入口:パッケージ、棚前POP、EC商品ページ。出口:購入、商品詳細、クーポン、会員登録。主KPI:商品ページ遷移率、クーポン利用、対象商品の売上や購入者アンケート。避ける設計:購入前に必要な情報より演出が長い、対象商品が分からない、特典条件が後出しになる。
企画書にそのまま使える10項目
アイデアを社内決裁と制作見積もりに進めるには、体験の面白さだけでなく、対象、導線、期間、計測、運営まで同じ紙面に置きます。以下の10項目が埋まれば、制作会社から具体的な代替案や概算が返りやすくなります。

| 項目 | 書く内容 | 判断できること |
|---|---|---|
| 1. 背景・課題 | 何が不足し、なぜ今やるか | 施策の必要性 |
| 2. 主目的 | 認知・UGC・来店・購買から1つ | 体験の方向 |
| 3. ターゲット | 誰が、どの場面で触れるか | 媒体と表現 |
| 4. インサイト | 参加する理由・避ける理由 | 参加ハードル |
| 5. 体験概要 | 起動後に起きることを1文で | 必要な機能 |
| 6. 参加導線 | 発見から次の行動まで | 告知物と画面 |
| 7. KPI | 主KPI・補助KPI・目標値 | 計測要件 |
| 8. 期間・会場 | 公開日、会期、対象場所 | 制作・テスト日程 |
| 9. 素材・権利 | ロゴ、画像、3D、楽曲、肖像 | 制作工数と許諾 |
| 10. 予算・体制 | 予算幅、決裁者、現場担当 | 実現範囲と進行 |
コピー用テンプレート
次の文章を埋めるだけでも、初回相談に必要な情報が揃います。
【背景】__という課題があるため、【主目的】__を達成したい。対象は【ターゲット】__で、【入口】__からARを起動し、【体験】__を行った後、【次の行動】__へ進んでもらう。主KPIは【指標】__、目標は【数値】__。公開希望日は【日付】__、使える素材は【素材】__、予算は【範囲】__。
制作工程と相談時期を詰める段階ではAR制作の依頼の流れ、費用の幅を確認するときはAR制作の費用相場をあわせて使うと、企画と発注条件を切り分けられます。
参加導線は「発見→起動→体験→次の行動」で設計する
ARの制作範囲だけを企画すると、会場や売場で「どこから始めるのか分からない」、体験後に「次に何をすればよいか分からない」という穴が残ります。導線は4区間に分け、各区間で1つだけ行動を求めます。

| 区間 | ユーザーの疑問 | 企画側が用意するもの |
|---|---|---|
| 発見 | 何ができるのか | 3秒で読める見出し、完成イメージ、開催条件 |
| 起動 | 安全か、面倒ではないか | QR、対応端末、通信案内、短い操作説明 |
| 体験 | 何をすれば成功か | 最初の1アクション、進捗表示、撮り直し |
| 次の行動 | 体験後に何が得られるか | 投稿、次地点、商品、クーポンへの単一CTA |
起動前と体験後を設計する
起動前の告知では、ARという技術名より「誰と何が撮れる」「ここでしか見られない」「集めると何が起きる」を先に見せます。体験後の画面には、主目的に直結するボタンを1つ置きます。UGC型なら撮影・共有、来店型なら次地点、購買型なら商品詳細やクーポンです。
Webサイトへ遷移させる場合は、QRや告知チャネルごとにUTMを分け、少なくとも流入元・媒体・キャンペーン名を統一命名しておくと、同じ体験でも入口別に成果を比較できます。
運営現場まで含めて企画する
イベントや店舗では、制作物より現場対応が成果を左右することがあります。開場前に実機テストを行い、QRが照明で反射しないか、立ち止まっても通行を妨げないか、通信が弱い場所はないかを確認します。スタッフ用には「起動できない」「カメラ許可を拒否した」「景品条件が分からない」の3つに答える短い手順書を用意します。
KPI・予算・スケジュールを同時に決める
KPIだけを後付けすると、必要なログが取れないことがあります。反対に、取り得る数字をすべて並べても意思決定には使えません。主目的に近い主KPIを1つ、原因を分析する補助KPIを2〜4つ選び、計測と制作の見積もりを同時に固めます。

| 目的 | 主KPI | 補助KPI | 確認したい比較 |
|---|---|---|---|
| 認知 | ユニークリーチ | 再生完了、指名検索、体験開始 | 告知チャネル別 |
| UGC | 投稿数・投稿率 | 撮影完了、保存、二次再生 | 演出・音源別 |
| 来店 | 現地起動・到達 | 地点別通過、完走、滞在 | 場所・時間帯別 |
| 購買 | 購入・クーポン利用 | 商品遷移、体験完了、会員登録 | 対象商品・入口別 |
計測点を先に置く
基本のファネルは「表示またはQR接触→AR起動→体験開始→体験完了→CTAクリック→目的行動」です。すべての人数を同じ方法で識別できるとは限らないため、企画書には計測できる値、推計になる値、外部システムから受け取る値を分けて書きます。例えば来店は現地限定QRの起動で近似し、購買はクーポンコードやEC側のキャンペーン計測と結びます。
より詳しいKPIの考え方はARマーケティングのKPI設定と計測手法で解説しています。ここでは、制作着手前にイベント名と計測条件を決め、公開前テストでログが実際に届くことまで確認してください。
予算・期間・権利のチェック
当社実績では、SNSエフェクトは15万円〜、WebARフォトフレームは20万円〜、標準納期は内容により2週間〜2ヶ月が目安です。ただし、3D素材の新規制作、地点数、管理画面、抽選、外部システム連携、監修回数で大きく変わります。イベント日が固定なら、告知物の入稿と現地テストを含めてARイベント活用の全体設計から逆算してください。
よくある質問
企画初期に止まりやすい判断を、目的・媒体・予算・計測の4点に絞って回答します。

Q. 目的は複数設定してもよいですか?
A. 設定できますが、主目的は1つに絞ってください。例えば「来店を主目的、UGCを副目的」と決めると、現地起動数を主KPI、投稿数を補助KPIにできます。両方を同列にすると、現地限定性と投稿しやすさのどちらを優先するか決められません。
Q. WebARとSNSエフェクトはどう選びますか?
A. ターゲットが普段使う接点と、体験後の行動で選びます。SNS内で認知・UGCを広げたいならSNSエフェクト、店頭・イベント・パッケージ・ECからアプリ不要で起動させたいならWebARが基本です。両者の違いはTikTokエフェクトとWebARの使い分けも参考にしてください。
Q. 企画段階で予算が未定でも相談できますか?
A. 相談できます。「上限30万円」「50万円前後」「100万円以内」など幅だけでもあると、既存素材の活用、演出数、地点数、計測機能の優先順位を提案できます。予算が完全に未定なら、主目的、公開日、使える素材の3点を先に共有してください。
Q. 効果測定はどこまでできますか?
A. AR側では起動、体験開始、完了、ボタン押下などを設計できます。SNS投稿、来店、購買はプラットフォームや店舗・EC側のデータと組み合わせます。個人を無理につなぐのではなく、チャネル別URL、クーポン、地点別QRなど、目的に合う比較可能な単位を決めるのが実務的です。
まとめ:1枚の企画メモから始める
ARキャンペーン企画に必要なのは、最初から完成した仕様書ではありません。目的、ターゲット、入口、体験、次の行動、KPI、公開日、素材、予算幅を1枚に置けば、何を作るべきか、何を削るべきかを話せる状態になります。

- 主目的を1つ選ぶ:認知・UGC・来店・購買のどれを変えたいか決める
- 10項目を埋める:空欄は空欄のまま、分かる条件だけを1枚にまとめる
- 実現方法を比較する:SNSエフェクト、WebAR、現地演出から最小構成を選ぶ
TOBIDASEでは、4億回のARエフェクト再生実績とイベント・観光・音楽案件の経験をもとに、企画整理から制作、現地テスト、効果測定まで支援しています。まだ体験案が固まっていなくても問題ありません。上のテンプレートで分かる範囲を添えて、お問い合わせフォームからご相談ください。