結論を3行で

ARイベントの予算は、画面の中の制作物だけでなく、公開中の配信と会場での運営を含めて考える必要があります。

ARイベント制作費用をAR本体、配信費、当日運営の3層に分けて総額を考える結論図
AR本体・配信・当日運営を分けると、制作会社ごとに異なる見積範囲をそろえて比較できます。
  • フォト体験は20万〜80万円、回遊型は20万〜300万円超、空間演出は100万〜500万円が制作費の目安です。
  • 総額は「AR本体+プラットフォーム・配信+現地テスト・当日運営」で決まり、制作費だけの比較では不足します。
  • 安くする近道は機能を削ることではなく、目的、スポット数、支給素材、想定PV、現地対応の分担を先に固定することです。

本記事の金額は税別の概算です。既存の自社価格記事、公開されているサービス料金、実案件の仕様を照合した2026年8月時点の目安であり、会場条件、権利処理、素材、同時アクセス、公開期間によって変わります。AR全般の価格を横断して比較する場合はAR制作の費用相場【2026年版】、企画から公開までの順序はAR制作の依頼の流れも参照してください。

ARイベント制作費用の相場|3方式を比較

イベント向けARは、来場者に取ってほしい行動で方式を分けると見積が早くなります。撮影・保存を促す「フォト体験」、複数地点を巡る「回遊型」、現実空間へ3Dを出す「空間演出」の3方式です。

ARイベントのフォト体験、回遊型、空間演出を費用相場とともに比較した図
同じARでも、体験地点とコンテンツの作り込みで20万円台から500万円規模まで幅が出ます。
方式制作費の目安制作期間主な構成別途確認
フォト体験20万〜80万円2〜6週間フレーム、顔・平面認識、保存導線、1体験デザイン原稿、告知サイン、当日案内
回遊型20万〜300万円超1〜3か月3〜10地点、スタンプ、特典、地点別演出スポット設置、景品、通信、スタッフ
空間演出100万〜500万円2〜4か月3D、位置・空間認識、アニメーション、独自UI3D素材、現地調整、高負荷対策、安全管理

公開料金にも幅があります。例として、STYLY WebARのレギュラープランは月額38,500円、昭文堂の支給データを使うARフォトフレームは1点5万円から、パソナ日本総務部のWebARコンテンツは30万円からと案内されています。WaiWai ARのスタンプラリーは最大10マーカーで月額132,000円という料金例もあります。これらは同じ納品範囲ではなく、ツール利用料、素材支給型、受託制作が混在しています。

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「○万円から」の含有範囲を確認公開価格が安く見えても、オリジナル素材制作、修正、現地テスト、配信PV、案内サイン、当日対応が別の場合があります。総額比較では同じ項目を横並びにしてください。

フォト体験:20万〜80万円

来場者がキャラクターや装飾と一緒に撮影し、写真・動画を保存する方式です。既存ロゴやイラストを支給し、画面内の静的なフレームを1点作る構成は下限寄りです。顔への追従、複数フレーム、アニメーション、音、ランダム表示、応募フォーム連携を足すほど上がります。

自社の既存記事では、WebAR型のフォトフレームを20万〜80万円、相談が多い帯を20万〜50万円と整理しています。詳細はARフォトフレームの制作費用と作り方で、テンプレート型・WebAR型・オリジナル開発型の違いを確認できます。

回遊型:20万〜300万円超

会場内や街中の複数スポットでARを起動し、スタンプ、キャラクター、謎、特典を集める方式です。3〜5スポットで既存素材を使う小規模構成は20万〜50万円、5〜10スポットで地点ごとの独自演出を作る標準構成は50万〜150万円、広域・フルオーダーは150万〜300万円超が目安です。

費用を決めるのはスポット数だけではありません。全地点で同じ演出を出すのか、地点ごとに別の3Dやアニメーションを作るのか、特典を画面表示だけにするのか、景品交換や応募まで設計するのかで工数が変わります。規模別の内訳はARスタンプラリーの費用相場に分けています。

空間演出:100万〜500万円

大型製品、建築物、キャラクターなどを原寸・巨大サイズで出し、来場者が周囲を歩いたり画面を操作したりする方式です。3D制作、軽量化、位置合わせ、端末差の検証、会場の照明・床・通信を考慮する必要があり、フォト体験よりテスト範囲が広くなります。

CADや3Dモデルを支給できる場合は素材費を圧縮できますが、そのままスマートフォンへ配信できるとは限りません。ポリゴン、テクスチャ、アニメーションを軽くし、見た目と読み込み時間を両立させる工程が必要です。展示会での製品3Dや回遊の使い分けは展示会ブースのAR活用も参考になります。

見積内訳|企画から当日運営まで7項目

見積書を比べるときは、総額より先に項目をそろえます。企画、素材、開発、配信、現地テスト、当日運営、レポートの7項目に分けると、「A社には含まれ、B社には含まれない作業」を見つけやすくなります。

ARイベントの見積を企画、素材、開発、配信、現地テスト、当日運営、レポートの7項目に分けた図
画面制作の前後にある配信・現地・運営・分析を見積行として分離します。

制作費だけではイベントの総額になりません。配信費と当日運営費を分けて確認すると、見積の抜けを防げます。

見積項目含めたい作業金額が変わる条件発注側の確認
企画・体験設計目的、導線、画面遷移、KPI、要件定義会場数、関係者、提案範囲企画案と要件定義を分けるか
素材・デザイン2D、3D、動画、UI、音、コピー新規制作点数、精度、監修支給形式と権利は揃うか
実装・開発認識、演出、保存、連携、端末対応機能、地点、外部システム対応端末と非対応時の代替
配信プラットフォーム、サーバー、URL、解析公開期間、PV、容量、同時アクセス超過単価と終了後の扱い
現地テスト回線、照明、認識、導線、負荷、実機会場数、移動、再テスト本番と同じ時間帯で試すか
当日運営案内、障害一次対応、景品、端末、記録日数、時間、人数、交通宿泊主催者と制作会社の分担
効果測定ログ設計、集計、レポート、改善案KPI数、外部データ、報告頻度計測定義と納品形式

1. 企画・体験設計

「ARを置く」ではなく、誰に、どこで、何をしてもらい、その後どこへ進んでほしいかを決める工程です。会場図へ入口、体験地点、待機列、出口、景品交換を置き、ARを使わない来場者の動線も確認します。企画費が含まれない見積では、主催者側が画面遷移やサイン文言まで決める前提かもしれません。

2. 素材・デザイン制作

ロゴ、キャラクター、商品画像、CAD、3D、音源、監修済み文言をいつ渡せるかで費用と納期が変わります。データを「持っている」ことと、ARへ使える権利・形式で「支給できる」ことは別です。IP案件は権利者確認の回数とリードタイムも見積条件に入れます。

3. 実装・開発

画像・顔・平面・空間・位置の認識、アニメーション、撮影保存、スタンプ、抽選、会員・商品ページ連携などを作る工程です。機能数だけでなく、対応するOS・ブラウザ・端末の範囲が広いほどテスト工数が増えます。目的に不要な機能を減らし、成功条件に直結する動作へ集中させます。

4. プラットフォーム・配信

ツール利用料、ホスティング、アクセス解析、PV超過、公開期間、独自ドメイン、ブランド表記の非表示などです。月額型は初期費用が低くても、会期前のテスト期間と会期後の閲覧期間まで契約月数に含めます。大規模イベントは想定来場者数ではなく、ピーク時の同時アクセスと再読み込みも共有します。

5. 現地テスト

会場の照明、反射、床や壁の模様、GPS精度、電波、混雑、屋外の明るさは机上では確定できません。QRを置く高さ、読み取り距離、カメラ権限の案内、撮影してよい方向、安全な立ち位置まで、本番と同じ端末・回線で起動から終了まで試します。

6. 当日運営

案内スタッフ、景品交換、貸出端末、モバイル回線、障害時の連絡、再起動手順、行列整理、時刻別の現場記録などです。制作会社が現地へ入るのか、遠隔待機するのか、主催者スタッフだけで運用するのかで費用が変わります。

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当日運営を「制作一式」に埋めない拘束時間、人数、交通宿泊、機材、障害対応の範囲を別行にします。会場費、施工費、印刷費、景品費がAR見積の外である場合も、総予算表には必ず戻してください。

7. 効果測定・レポート

PV、UU、起動、完了、地点到達、保存、共有ボタン、応募、商品ページ遷移は別の指標です。何を成果とするかを公開前に決め、計測イベントと分母を固定します。アクセス解析がプランに含まれていても、KPIの定義、集計、考察、報告会は別作業の場合があります。

予算別モデル|30万〜300万円でできること

予算から逆算するときは、見栄えの豪華さではなく「含む範囲」を固定します。以下は発注条件を考えるためのモデルであり、定額商品ではありません。会場、素材、権利、配信、当日運営により個別見積となります。

ARイベントの30万〜50万円、80万〜150万円、200万〜300万円の予算別モデルを比較した図
低予算ほど体験を一つに絞り、予算を増やすと地点・演出・計測・現地対応を拡張できます。
モデル含む想定発注側で担うもの向く目的
30万〜50万円1体験、支給素材、簡易WebAR、基本テスト、短期配信企画確定、告知物、当日案内、景品撮影、来場記念、商品・展示の入口
80万〜150万円3〜5地点または独自演出、素材制作、解析、現地テスト、運営マニュアル監修、会場調整、主催者スタッフ回遊、滞在、複数展示への送客
200万〜300万円5〜10地点、複数3D・動画、外部連携、高アクセス対策、現地対応、報告権利承認、施工、景品、会場全体統括大型イベント、広域周遊、独自体験

30万〜50万円:1体験に絞る最小構成

既存のロゴ・キャラクター・商品画像を支給し、フォト体験または1地点のWebARへ絞る構成です。撮影保存か商品説明か、目的を一つにします。QRサインや当日案内を主催者側で用意できれば、予算をAR体験へ集中できます。

安価なSaaSを自社で操作すればさらに下げられる場合がありますが、その料金は制作会社へ企画・素材制作・端末検証まで任せる費用と同じではありません。社内工数と失敗時の対応責任も比較します。

80万〜150万円:回遊と計測を含む標準構成

3〜5地点の回遊、オリジナルの2D・軽量3D、地点別ログ、現地テスト、運営マニュアルを含めやすい帯です。体験を増やすより、入口、主役地点、ゴールの3段階を明確にし、主役地点へ制作費を寄せます。

同じ150万円でも、全地点へ薄く配るか、主役1地点へ3Dと演出を集中するかで体験の印象は変わります。スポット数、コンテンツ点数、修正回数を分けて見積もると調整しやすくなります。

200万〜300万円:複数演出と運営を含む拡張構成

複数の3D・アニメーション、位置連動、会員・応募連携、高アクセス対策、複数日の運営支援、詳細レポートを組み合わせる帯です。広域や多数会場では300万円を超えることがあります。制作物の数だけでなく、承認者、現地、システム、スタッフの連携コストが増えます。

この帯では「できる機能」を足すより、主KPIと障害時の継続条件を先に決めます。ARが動かない端末向けの通常ページ、混雑時の代替導線、問い合わせ窓口も納品範囲へ入れます。

追加費用を防ぐ6項目と実案件の判断基準

追加費用は、制作途中に前提が変わったときに発生します。素材、スポット数、PV、現地テスト、当日スタッフ、修正回数の6項目を見積前に固定し、変える場合の単価と期限を決めます。

ARイベントの追加費用を防ぐ素材、スポット数、PV、現地テスト、当日スタッフ、修正回数の6項目
数量と分担を数えられる形にすると、変更時の再見積もり条件が明確になります。
項目上振れのきっかけ先に決めること
素材支給予定の3Dが使えない、権利未確認、追加制作形式、点数、権利、支給日
スポット数地点追加、地点ごとに別演出、再設置地点数、演出共通化、設置担当
PV想定超過、会期延長、告知拡大、再読み込み含有PV、超過単価、公開期間
現地テスト会場変更、再訪、夜間・休日、遠方移動回数、日程、端末、交通宿泊
当日スタッフ開催延長、増員、景品対応、貸出端末人数、拘束時間、担当表、連絡系統
修正回数監修者追加、確定後の仕様変更、差し替え含有回数、承認者、締切、追加単価

実案件は費用の証拠ではなく仕様の参考にする

TOBIDASEの実績には、撮影型から原寸の空間演出まで幅があります。累計ARエフェクト再生は4億回、はてなの公式投稿3本は合計約200万回再生、下田では全長78mの黒船を原寸ARで再現しました。ただし、再生数や表現サイズから個別案件の制作費は逆算できません。

3.5億回ARエフェクトの累計再生実績
78m下田・黒船ARを原寸で再現
200万回はてな公式投稿3本の合計再生
出典:自社実績・クライアント公開情報(2026年7月集計)
宇佐のマチュピチュARで民族衣装とご当地キャラクターを重ねて記念撮影する実画面
宇佐のマチュピチュ・衣装ARエフェクトの実画面。撮影型では人物の顔や背景を隠さない余白、保存結果、案内導線を見積条件にします。事例詳細
下田港でQR起動から全長78mの黒船AR出現、タップ演出までを示す体験フロー
下田港内めぐりARの体験フロー。空間演出では3D制作だけでなく、位置、船上の回線、現地テスト、操作案内まで仕様に入ります。事例詳細
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成果値と制作費を混同しない再生数、AR利用数、来場者数、回遊率、制作費は別の数値です。事例は必要な素材・機能・現地条件を洗い出すために使い、費用は同じ条件で個別に見積もります。

会期から逆算し、削らない費用を決める

フォト体験は1〜2か月前、回遊型や空間演出は2〜3か月前を相談開始の目安にします。告知物のQR確定、素材監修、会場予約、現地テスト、景品やスタッフの手配を含めると、ARの開発完了日より前に決める期限があります。

予算調整では、演出点数、3D精度、地点数、レポート頻度は段階化できます。一方、対応端末の基本テスト、会場での起動確認、安全な立ち位置、権利処理、障害時の代替導線は削らないでください。発注側の準備物と締切はAR制作の準備チェックリストでも確認できます。

よくある質問

ARイベント制作の見積前に多い質問を、費用・期間・当日運営の観点で整理します。

ARイベント見積前に確認する予算、会期、会場、素材、来場者数の5点
目的を一つに絞り、予算・会期・会場・素材・来場者数を共有すると概算精度が上がります。

ARイベント制作は最低いくらから依頼できますか?

支給素材を使う1点のフォト体験なら20万円台からが制作会社へ依頼する目安です。SaaSを自社運用する場合や、テンプレートへ画像を差し替えるだけなら下げられる例もあります。ただし、企画、素材制作、告知サイン、現地テスト、当日対応を含むかをそろえて比較してください。

制作期間はどのくらい必要ですか?

フォト体験は2〜6週間、回遊型は1〜3か月、空間演出は2〜4か月が目安です。公開料金を掲示するパソナ日本総務部も、イベント向けARはヒアリングを含め2〜3か月程度と案内しています。素材や監修が未確定の場合は、さらに前から相談してください。

当日スタッフ費は制作費に含まれますか?

会社とプランによって異なります。遠隔待機のみ、現地ディレクター1名、案内・景品交換まで含む複数名では費用が変わります。人数、拘束時間、交通宿泊、機材、障害対応、主催者側の担当を見積行へ分けてください。

来場者数が多いと費用は上がりますか?

制作物が同じでも、PV上限、同時アクセス、サーバー負荷、会場回線、案内スタッフ、景品数が変わるため上がる場合があります。想定来場者数だけでなく、AR体験率、ピーク時間、1人あたりの再読み込み、公開期間を共有します。

見積前に何を準備すればよいですか?

①予算上限、②開催日と公開期間、③会場図・住所・通信条件、④支給できるロゴ・画像・3D・権利、⑤想定来場者数を用意します。最も重要なのは「撮影を増やす」「回遊させる」「商品理解を深める」など、主目的を一つ決めることです。

ARイベント制作の見積を相談する

最初から方式や機能を決める必要はありません。予算、会期、会場、素材、来場者数と、来場者に起こしたい行動を共有すれば、フォト体験・回遊型・空間演出のどれが適するかを整理できます。企画の全体像はARイベント活用の完全ガイド、実施例はWebARのイベント・観光プロモーション事例もご覧ください。

TOBIDASEでは、AR本体だけでなく、配信、会場導線、現地テスト、当日運営、効果測定まで必要範囲を分けてご提案します。具体的な概算とスケジュールが必要な方は、ARイベント制作について相談するから、決まっている範囲をお知らせください。

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