- 結論を3行で
- AR制作の依頼前チェックリスト【必須・条件付き】
- 1. 目的とKPI
- 2. 対象者・利用場所・体験導線
- 3. 公開日・実施期間・予算範囲
- 4. 保有素材と権利状況
- 5. 対象端末・配信・計測条件
- 6. 確認者・決裁者・回答期限
- 7. 未定項目の担当者と決定期限
- 支給素材は「見本」より編集できる元データをそろえる
- ロゴ・キービジュアル・ブランド資料
- 写真・動画・音源・表示コピー
- 3Dモデル・図面・寸法・参考写真
- 画像認識マーカー・印刷物・設置環境
- 技術・配信・計測条件は素材提出前に共有する
- 方式が決まっていないときは利用場面を書く
- 端末・カメラ権限・現地条件を実機テストへ落とす
- 計測・データ・公開後運用の境界を決める
- 公開日・予算・承認体制を一つの工程表にする
- 公開日から確認日と素材締切を逆算する
- 予算は上限だけでなく優先順位も伝える
- そのまま使えるAR制作の依頼メモ
- よくある質問
- 見積もり前に全項目を確定する必要がありますか?
- 3DデータがなくてもAR制作を依頼できますか?
- 「全スマートフォン対応」で依頼できますか?
- 素材の権利確認は制作会社が行いますか?
- イベントの何日前に相談すべきですか?
- まとめ:完成資料より正確な棚卸しを渡す
結論を3行で
AR制作の依頼準備は、完成した企画書を作ることではありません。目的、素材、利用条件、公開日、予算、確認体制を「確定・仮・未定」に分けると、初回相談から実現方法と見積もりの話へ進めます。

- 最初に必須なのは、目的・対象者・利用場面・希望公開日・予算範囲です。ARの方式や細かな演出は相談後でも決められます。
- 素材はロゴ、画像、動画、音源、3D、権利情報を元データ単位で棚卸しし、無いものも明記します。
- 未定項目には決める人と期限を付けると、見積もり前提と制作スケジュールがぶれません。
準備とは、資料を完成させることではなく、あるもの・ないもの・未決のものを同じ表にすることです。 すでに制作工程と標準期間を確認したい方は、先にAR制作の依頼の流れと期間をご覧ください。本記事は、その前段にある「何を渡せばよいか」に絞ります。
AR制作の依頼前チェックリスト【必須・条件付き】
初回相談で7項目を確定する必要はありません。ただし、何が未定か分からなければ、制作会社は安全側の工数や多くの前提を置きます。以下の表へ状態、担当者、決定期限、最新版URL、権利・承認証跡を記せば、問い合わせや相見積もりの共通条件として使えます。

| 確認項目 | 最低限伝えること | 資料 | 状態・担当・期限 | 最新版URL・証跡 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 目的・KPI | 誰の何を変え、何で測るか | 企画書、KPI案 | 状態/担当/期限 | 企画書URL/承認記録 |
| 2. 対象・場所・導線 | 対象者、場所、AR前後の行動 | 会場図、画面遷移 | 状態/担当/期限 | 会場図URL/施設承認 |
| 3. 公開日・予算 | 希望日、実施期間、予算範囲 | 工程表、予算内訳 | 状態/担当/期限 | 工程表URL/決裁記録 |
| 4. 素材・権利 | 保有素材と利用許諾の状態 | 元データ、権利者 | 状態/担当/期限 | 素材URL/許諾証跡 |
| 5. 技術・計測 | 端末、環境、取得したい数値 | 対応条件、イベント定義 | 状態/担当/期限 | 仕様URL/情シス承認 |
| 6. 確認・決裁 | 窓口、確認者、決裁者、回答日数 | 役割表、確認工程 | 状態/担当/期限 | 役割表URL/承認記録 |
| 7. 未定管理 | 未定を誰がいつ決めるか | 課題一覧、代替案 | 状態/担当/期限 | 課題表URL/決定記録 |
1. 目的とKPI
「若年層に世界観を伝える」「会場を回遊してもらう」など事業目的を1文にし、体験開始、完了、CTA、地点到達など目的に近い主KPIを一つ決めます。演出名ではなく達成したい行動を伝えると、WebAR、SNSエフェクト、アプリAR、3Dビューアを比較できます。
2. 対象者・利用場所・体験導線
対象者に加え、どこでARを知り、何を読み取り、体験後にどこへ進むかを書きます。店頭はパッケージやPOP、イベントは会場サイン、観光は移動経路と通信状況も制作条件です。参考事例には、起動・演出・体験後導線のどこを参考にするか添えます。
3. 公開日・実施期間・予算範囲
公開日は「イベント当日」ではなく、告知開始、印刷入稿、関係者テスト、本番公開の各日を分けます。予算は上限だけでなく、企画、素材制作、実装、配信、保守のどこまで含めるかを示します。相場と内訳を確認したい場合はAR制作の費用相場、受け取った見積書の読み方はAR開発の見積書の読み方へ進んでください。
4. 保有素材と権利状況
素材名だけでなく、元データの有無、制作者、権利者、利用できる媒体・地域・期間、改変可否、クレジット条件を書きます。ロゴのPNGはあるがAIデータはない、商品写真はAR広告への利用確認が必要、3Dモデルは再配布不可、といった制約も重要です。購入・新規制作する範囲が見えれば、見積もりを分解できます。
5. 対象端末・配信・計測条件
想定OS・ブラウザ、SNS内ブラウザ、会場回線、貸出端末を伝えます。ドメインの名義、アクセス上限、終了後の閉鎖画面、計測イベントも相談対象です。方式が未定なら利用条件を先に共有し、方式別の対応範囲を提示してもらいます。
6. 確認者・決裁者・回答期限
制作窓口、ブランド確認、法務・権利確認、情報システム確認、最終決裁者を分けます。複数部署から個別に修正が来る場合は、発注側で一本化する担当を置きます。「誰が確認するか」に加えて、ラフ、試作、最終版へ何営業日で回答できるかを工程表へ入れると、制作会社側の作業日と発注側の確認日を混同しません。
7. 未定項目の担当者と決定期限
公開日までに決まればよい項目と、設計着手前に決める項目を分けます。目的、主要導線、権利制約、公開日、予算範囲は早期に必要です。細かな文言や一部演出は試作後でも決められます。期限を越えた場合は、代替案へ切り替えるか対象範囲を減らします。
支給素材は「見本」より編集できる元データをそろえる
確認用のJPEGや動画だけでは、透過、色変更、アニメーション、軽量化、別サイズ展開に使えないことがあります。制作会社へは、最終表示の見本と、編集可能な元データの両方を渡します。ファイル名だけの一覧ではなく、用途、版、権利、更新責任者も付けてください。

| 素材 | 支給したい元データ | 一緒に伝える条件 | 無い場合 |
|---|---|---|---|
| ロゴ・VI | AI・EPS・SVG、透過PNG、カラー・余白規定 | 背景色、最小サイズ、改変可否 | 再作成・トレース範囲を見積もる |
| 写真・イラスト | 高解像度原版、レイヤー付き制作データ | 人物・商品・場所の利用許諾 | 撮影・購入・新規制作を分ける |
| 動画・音源 | 高品質マスター、字幕・歌詞・台本 | 尺、音量、楽曲・実演・原盤の権利 | 無音設計や代替素材を検討する |
| 3D・CAD | 編集可能なモデル、テクスチャ、寸法図 | 実寸、原点、向き、アニメーション、再利用条件 | 図面・三面写真から制作範囲を決める |
| コピー・翻訳 | 確定原稿、固有名詞表記、禁止表現 | 言語、文字数、監修者、承認期限 | 原稿作成・翻訳を別工程にする |
| 権利資料 | 許諾書、契約条件、クレジット指定 | 媒体、期間、地域、改変、二次利用 | 確認完了まで仮素材で進める |
ロゴ・キービジュアル・ブランド資料
ロゴは透過画像だけでなくベクター元データ、ブランドカラー、指定フォント、最小余白、背景ごとの使い分けを渡します。キービジュアルは完成版と、人物・商品・背景・文字が分かれた制作データを用意します。AR画面、LP、案内物、撮影結果ごとの承認条件も共有します。
写真・動画・音源・表示コピー
写真はWeb掲載用の縮小版ではなく原版を優先し、人物の肖像、施設の撮影、商品・作品の利用許諾を確認します。動画・音源はマスターと再生区間、ループ、音声なしでも意味が伝わる代替、字幕原稿を用意します。表示コピーは画面ごとに確定・仮を分け、社名、商品名、人物名の正式表記と読み方を一覧にします。
3Dモデル・図面・寸法・参考写真
3Dデータがある場合は、モデル形式だけでなくテクスチャ、実寸、原点、正面方向、アニメーション、使用ソフト、外部素材のライセンスを伝えます。ECの商品配置、屋外の実寸AR、キャラクター演出では必要な精度が異なります。3Dがなくても、CAD、寸法図、三面図、複数角度の写真、素材感が分かる接写があれば制作方法を検討できます。
AppleはAR Quick Look向けにUSDZ・Reality形式、GoogleはScene Viewer向けにglTF・GLBの要件を案内しています。方式別の例なので、採用方式を決めた後、対象端末を含む仕様表を制作会社から受け取ってください。
画像認識マーカー・印刷物・設置環境
画像認識では、最終印刷データ、実寸、紙質・光沢、掲出、照明、読み取り距離・角度を共有します。確定後に認識不良が分かると印刷物も修正が必要です。仮デザインで候補画像を評価し、校正紙か本番同等の印刷物を現地条件でテストします。
ARスタンプラリーのように地点、特典、掲示物、応募フォームまで必要な案件は、ARスタンプラリー制作の進め方と素材チェックで、方式別の追加準備も確認できます。
技術・配信・計測条件は素材提出前に共有する
技術の詳細を発注側で決め切る必要はありません。必要なのは、利用者、場所、端末、回線、公開方法、取得したい数値、データの扱いを先に伝えることです。制作会社はその条件から方式を提案し、対応範囲と非対応時の代替を仕様へ落とします。

| 条件 | 発注側が伝えること | 制作会社から受け取るもの |
|---|---|---|
| 対象端末 | OS、ブラウザ、SNS内ブラウザ、貸出端末 | 対象・対象外端末表、機能差、代替表示 |
| 利用環境 | 屋内外、照明、回線、混雑、安全動線 | 推奨条件、現地テスト、失敗時案内 |
| 起動導線 | QR、商品、URL、SNS、会場サイン | 画面遷移、権限説明、非対応時導線 |
| 配信 | ドメイン、基盤名、契約・提供終了日 | 上限、監視、書き出し、移行・保管・削除 |
| 計測 | 知りたい行動、頻度、媒体区分 | イベント名、パラメータ、検証方法 |
| データ | 画像・位置・応募・識別情報を扱うか | 目的、取得主体、送信・保存・削除、表示、窓口 |
方式が決まっていないときは利用場面を書く
「WebARで作ってください」より、「店頭のQRから起動し、商品を実寸で置き、体験後に商品ページへ進む」と書く方が方式選定に役立ちます。端末間で同じ見た目が必要か、SNS投稿が主目的か、会員機能と連携するかで構成が変わります。制作会社には、方式の理由、対象外条件、代替案を説明してもらいます。
端末・カメラ権限・現地条件を実機テストへ落とす
Webでカメラを利用するMediaDevices.getUserMedia()は、MDNがHTTPSなどの安全なコンテキストと利用者の許可が必要と説明しています。したがって、カメラ許可を拒否した場合、権限を後から変更する場合、非対応端末だった場合の案内も画面設計とテスト項目に含めます。
端末表だけで検収せず、主要端末、実際のQRや印刷物、現地照明、想定回線で、起動、権限許可、認識、追従、撮影、CTA、戻る操作まで通します。テスト結果には端末名、OS、ブラウザ、日時、回線、再現手順、合否を残します。
計測・データ・公開後運用の境界を決める
必要な計測イベントを公開前に決め、カメラ映像、位置情報、応募情報、ログを端末内で処理するか、外部へ送信・保存するかを確認します。カメラ利用だけで映像が保存されるわけではありません。画像を保存・送信する、または顔特徴を抽出する場合は、利用目的、取得主体、委託・第三者提供、利用者表示、保存・削除、問い合わせ先を決め、個人情報保護委員会のQ&Aも確認します。
公開URL、ドメイン、管理アカウントの名義に加え、採用基盤名、契約・提供終了日、ソース・ビルド・素材の書き出し可否、移行先、終了後の保管・削除を決めます。計測設計はAR効果測定の実務を参照し、依頼時点では「何を判断する数値か」を明記します。
公開日・予算・承認体制を一つの工程表にする
制作期間だけを聞いても、発注側の素材準備と確認に必要な日数が抜けます。公開日から、最終承認、実機・現地テスト、実装、デザイン確定、素材・権利確定、発注日を逆算し、それぞれの担当者を一枚にします。


公開日から確認日と素材締切を逆算する
公開前には、代表端末、現地または印刷物、ブランド・権利、本番URLの確認が必要です。イベント当日より前に運用確認の予備日を置きます。素材が遅れる場合は、仮素材で試作するか、演出を削るか、公開日を変えるかを事前に決めます。
標準的な制作ステップと期間の考え方はAR制作の依頼の流れと期間で解説しています。期間は方式と素材状態で変わるため、「何週間」という数字だけでなく、発注側の回答期限と審査・印刷・現地確認を含む工程で比較してください。
予算は上限だけでなく優先順位も伝える
予算が未確定でも、「この範囲なら決裁できる」「体験品質を優先し、素材新規制作は調整可能」「公開日は固定で、機能を段階化できる」など判断軸を伝えられます。素材制作、対応端末、多言語、現地テスト、計測、公開期間、保守は費用を動かすため、必須・できれば・今回は不要へ分けます。
| 準備状況 | 見積依頼での伝え方 | 判断できること |
|---|---|---|
| 素材を支給できる | 元データ、権利、提出日を一覧化 | 素材調整と実装の工数 |
| 素材制作も依頼する | 必要な品質、点数、参考、承認者を共有 | 新規制作・撮影・購入の費用 |
| 方式を相談したい | 利用者、場所、導線、端末、KPIを共有 | 方式別の費用と制約 |
| 予算が未確定 | 決裁可能な幅と優先順位を共有 | 段階案と削減時の影響 |
そのまま使えるAR制作の依頼メモ
以下を一枚へまとめて相談します。書けない項目も削除せず、「未定・相談したい」とし、管理欄まで埋めます。

| 項目 | 記入例 | 状態・担当・期限 | 最新版URL・証跡 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 店頭の商品理解と商品ページ遷移を増やす | 確定/企画/― | 企画書URL/部長承認 |
| 対象・場所 | 来店者/商品棚前/私物端末 | 確定/販促/― | 会場図URL/施設承認 |
| 体験 | QR→AR表示→特徴→商品ページ | 仮/企画/○月○日 | 導線図URL/ブランド承認 |
| 公開日・期間 | 告知日、開始日、終了日、予備日 | 確定/PM/― | 工程表URL/決裁記録 |
| 予算 | 初期・配信費の範囲、優先順位 | 仮/決裁者/○月○日 | 見積URL/稟議記録 |
| 素材 | ロゴAI・写真・寸法図あり、3Dなし | 仮/デザイン/○月○日 | 一覧URL/支給記録 |
| 権利 | 写真確認済み、楽曲なし、法務確認中 | 仮/法務/○月○日 | 許諾書URL/法務承認 |
| 端末・場所 | iOS・Android、店内回線、照明 | 仮/情シス/○月○日 | 仕様URL/情シス承認 |
| 計測 | 閲覧、開始、配置、CTAを媒体別に把握 | 仮/分析/○月○日 | 計測表URL/個人情報確認 |
| 体制 | 窓口、ブランド、法務、決裁者 | 確定/PM/― | 役割表URL/決裁記録 |
| 未決事項 | 方式は提案希望、3D範囲は見積後 | 未定/企画/○月○日 | 課題表URL/決定記録 |
TOBIDASEへの相談では、この表をコピーしたメモや既存の企画書をそのまま共有できます。方式や素材の不足を含めて整理したい場合は、AR制作について相談するから、決まっている範囲をお知らせください。
よくある質問
AR制作の依頼準備で迷いやすい点を、初回相談と見積確定の違いに沿って回答します。

見積もり前に全項目を確定する必要がありますか?
必要ありません。初回相談では目的、対象者、利用場所、希望公開日、予算範囲、保有素材を伝え、未定項目には担当者と決定期限を付けます。ただし、見積もり確定までには対象範囲、素材制作の分担、権利、対応端末、修正回数、検収条件を合意してください。
3DデータがなくてもAR制作を依頼できますか?
依頼できます。CAD、寸法図、三面図、複数角度の写真から新規制作できる場合があります。求める精度、実寸再現、アニメーション、質感、対応端末によって工数が変わるため、「3Dなし」と明記し、手元の参考資料をすべて棚卸ししてください。
「全スマートフォン対応」で依頼できますか?
無条件の全端末対応では検収できません。対象OS・ブラウザ・端末、方式、権限、利用場所を定義し、主要端末で実機テストします。対象外では通常Web、画像、動画、スタッフ案内などの代替導線を用意します。
素材の権利確認は制作会社が行いますか?
発注側は支給素材、制作会社は新規に調達・制作する素材について権利状況を提示し、保証・許諾・責任を契約で分担します。制作費の支払いだけで著作権は自動移転しないため、成果物の著作権帰属、利用許諾、改変・二次利用、第三者権利を明記します。文化庁の制作委託契約のひな形と解説も参照し、必要に応じて法務へ確認してください。
イベントの何日前に相談すべきですか?
方式、素材、審査、印刷、現地テスト、確認体制で変わるため、一律の日数では決められません。イベント日だけでなく告知日・印刷入稿日から逆算し、日程と素材が未確定でも早めに相談してください。固定期限がある場合は、優先機能と削減可能な範囲も同時に伝えます。
まとめ:完成資料より正確な棚卸しを渡す
必要なのは完成した企画書ではありません。目的、対象者と利用場所、公開日と予算、保有素材と権利、端末・配信・計測条件、確認体制、未定項目の担当と期限を同じ一覧にします。

素材が足りないことは問題ではなく、足りない範囲と決める期限が見えないことが問題です。 まず1枚の依頼メモを作り、制作会社から方式別の制約、必要素材、対応端末、見積内訳、検収条件を受け取ってください。
TOBIDASEでは企画の初期段階、既存素材の棚卸し、3D・画像・動画の制作範囲、公開後の計測まで一緒に整理します。決まっている項目が少ない場合も、AR制作の相談・見積もりを依頼するからご相談ください。