結論を3行で

  • 2026年度は「スタンプラリー」が補助対象となるデジタルツール例に明記されました。観光庁の観光DX推進事業は補助率1/2・上限1,500万円です。
  • 計画申請の主体は自治体・DMO・観光協会等。地域内の複数事業者と連携し、周遊データをどう活用するかまで設計する必要があります。
  • 2026年度の受付は終了し、二次公募の予定もありません。次回公募の実施は未発表のため、前年要領を参考にしながら構想・体制・見積もりを先に固めます。
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2026年7月時点の最新状況一次公募は2026年4月24日〜5月29日に実施され、採択結果も公表済みです。公式サイトは「二次公募の実施予定はない」と案内しています。この記事では次回公募を保証せず、いま準備できる内容を整理します。

デジタルスタンプラリーに使える補助金・交付金【申請主体別一覧】

観光地や商店街の周遊施策としてデジタルスタンプラリーを企画するとき、自己財源だけで賄う必要はありません。国・自治体には、観光DXやデジタル実装を後押しする制度が複数あります。最初に「誰が申請するか」で候補を絞ると迷いません。

制度実施主体主な申請・利用主体補助率・規模感2026年7月時点
全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業観光庁計画申請:自治体・DMO・観光協会等
補助事業:観光事業者・宿泊事業者等も参画可
補助率1/2・上限1,500万円(区分による)一次公募・採択終了。二次公募なし
地域未来交付金(デジタル実装型)国の地方創生担当部局地方公共団体タイプ・事業により異なる旧「新しい地方経済・生活環境創生交付金」から制度体系・名称が更新
都道府県・市区町村の観光振興・商店街活性化補助金各自治体地域の事業者・商店街組合等数十万〜数百万円規模が中心自治体ごとに公募状況を確認

自治体・DMO・観光協会なら観光DX推進事業と地域未来交付金、民間の店舗・商店街なら所在地の自治体補助金が入り口です。観光DX推進事業で観光事業者が参画する場合も、区分(1)では自治体・DMO・観光協会等が地域の複数事業者を取りまとめる形が基本です。

本命:観光庁「観光DX推進事業」(補助率1/2・最大1,500万円)

制度の概要

正式名称は「全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業」。DX推進による観光地の消費拡大や、観光産業の収益・生産性向上を目的とした観光庁の補助事業です。2026年度(令和8年度)の公募要領では、次の条件が示されました。

項目内容(2026年度)
事業区分(1) 観光地の販路拡大・マーケティング強化
(2) 観光産業の収益・生産性向上
(3) 専門人材による伴走支援
対象者区分(1)の計画申請主体:地方公共団体、DMO、観光協会等。補助対象事業者には観光事業者・宿泊事業者等も含む
区分(2):宿泊事業者
補助率・上限区分(1)(2):補助率1/2・上限1,500万円。区分(3)の伴走支援は定額・上限800万円
公募期間計画申請:2026年4月24日〜5月29日17時(終了)。参加申込は5月22日17時まで。二次公募の予定なし
事業完了期限交付決定後に着手し、2027年1月8日17時までに事業完了・完了実績報告

2026年度は「スタンプラリー」が対象例に明記

2026年度の公募要領は、区分(1)「観光地の販路拡大・マーケティング強化」で補助対象となるデジタルツールの例に、観光アプリ、デジタルマップ、クーポン配布などと並べて「スタンプラリー」を明記しています。説明も「各地のチェックポイントを巡る参加型イベントをデジタルで実施するもの」と具体的です。

したがって、以前のように「スタンプラリーが対象か分からない」と構える必要はありません。ただし、ツール名が例示されていることと、個別の申請経費がすべて認められることは別です。地域一体でのデータ活用、消費拡大、誘客・再来訪促進にどうつなげるかを計画に落とし込む必要があります。

補助対象になりやすい経費・対象外となる経費

公募要領では、事業目的に合致するソフトウェア、クラウドサービス、ハードウェア等の導入費を補助対象としています。一方、景品や汎用端末を含め、対象外経費も明示されています。企画書と見積書を作る前に切り分けておきましょう。

対象になり得る経費原則として対象外の経費
事業要件に合致するスタンプラリーのソフトウェア・クラウドサービス導入費交付決定前または事業期間外に発生した経費
データ収集・分析・可視化に必要なシステムや機器商品券等の金券、補助事業に直接関係しない経費
月額・年額サービスは条件を満たせば最大2年分一般利用が見込まれるパソコン・スマートフォン・タブレット等
導入システムに不可欠と説明できる付随機器同一経費に対する国の別補助金との重複

AR演出や景品を組み合わせる場合は、それぞれの経費が制度目的とどうつながるかを分けて説明します。とくに景品代をシステム導入費に混ぜず、補助対象経費と自己財源部分を見積書の段階で区分するのが安全です。

2026年度の公募は終了。いま何をすべきか

2026年度の一次公募は5月29日に締め切られ、7月に採択結果が公表されました。公式サイトは二次公募を実施しないと明記しています。次年度に同じ制度・条件で公募されるかはまだ確定していないため、次回公募を前提に契約や発注を進めるのではなく、前年要領を使って準備だけを先行させます。

具体的には、地域課題、参加事業者、取得するデータ、KPI、概算見積もり、補助金がなくても継続できる運営方法を秋冬までに整理します。公募開始後に制度差分だけを直せる状態なら、短い受付期間でも申請品質を落としません。

自治体なら:地域未来交付金(旧・新しい地方経済・生活環境創生交付金)

自治体のデジタル実装施策には、国の地方創生交付金も候補になります。2026年度の現行案内では「地域未来交付金」の名称でデジタル実装型が整理されており、旧「新しい地方経済・生活環境創生交付金」や、その前身のデジタル田園都市国家構想交付金を探している担当者は、現行制度ページまで確認する必要があります。

デジタル実装型は、地方公共団体がデジタルを活用して地域課題の解決や魅力向上を進める制度です。過年度から、他地域で確立済みの優良モデルを横展開する考え方があり、デジタルスタンプラリーのような実装実績のある仕組みは検討対象に置きやすい一方、対象タイプ、補助率、上限、募集時期は年度ごとに変わります。観光部局だけでなく、企画・デジタル推進・地方創生の担当部局と早めに共有してください。

都道府県・市区町村の観光振興補助金も見逃さない

国の大型制度だけが選択肢ではありません。都道府県や市区町村には、観光誘客イベント・商店街活性化・地域DXを対象にした数十万〜数百万円規模の補助金が多数あり、小規模なARスタンプラリー(3〜5スポット・20万〜50万円)なら、この規模感の制度で十分に賄えます。

  • 観光振興・誘客促進系:観光イベントやコンテンツ造成への補助。観光協会経由の場合も
  • 商店街活性化系:商店街組合が主体のイベント・デジタル化への補助
  • 地域DX・デジタル化支援系:中小企業や団体のデジタルツール導入への補助

「自治体名+観光+補助金」「自治体名+商店街+イベント+補助」で検索し、商工観光課・産業振興課に直接問い合わせるのが早道です。国の制度と違い、通年・随時受付のものもあります。制度名だけでなく、申請主体、対象経費、締切、交付決定前着手の可否をセットで確認してください。

申請から精算までの流れ【フロー図】

どの制度でも、大きな流れは共通しています。重要なのは「いつ制作会社に発注できるか」です。

補助金を使ったスタンプラリー導入の6ステップフロー図:①情報収集・構想づくり(公募の半年前〜)→②公募要領の確認(公募開始・春が多い)→③計画策定・申請(締切まで約1ヶ月)→④審査・交付決定(約1〜2ヶ月)→⑤発注・制作・実施(制作2〜3ヶ月+会期)→⑥実績報告・精算。交付決定前の発注・契約は補助対象外が原則

最大の落とし穴は、採択通知と交付決定を混同することです。2026年度の公募要領でも、計画が採択された時点では契約・納品・支払い等に着手できず、その後の交付申請を経て交付決定を受けてから事業を開始できるとされています。交付決定前に発生した経費は補助対象外です。

一方で、構想段階で制作会社から概算見積もりを取ることは問題なく、申請書の経費積算に必須です。当社にも「申請前の概算見積もりと仕様の整理を手伝ってほしい」というご相談をいただけます。見積もりは無料です。

スケジュール面では、交付決定(初夏〜夏)→制作2〜3ヶ月→秋の行楽シーズンで実施→年度内に実績報告、が典型的な1年です。ARスタンプラリーの制作期間の内訳はARスタンプラリーの費用相場で解説しています。

採択されやすい計画に共通する4つの要素

補助金は「良い企画」ではなく「制度の目的に合致した計画」が採択されます。観光DX系の制度でスタンプラリーを通すなら、次の4要素を押さえてください。

採択されやすい計画の4要素チェックリスト:①数値目標(KPI)が定量で書かれている(周遊スポット数・参加人数・データ収集・消費額)②地域課題と接続している③取得データの活用設計がある④単年で終わらない継続シナリオがある

とくに効くのが③のデータ活用です。紙のスタンプラリーと違い、デジタルならどのスポットが人気か・どんな動線で回られたか・何割が完走したかが自動で取得できます。このデータを翌年度の改善につなげる設計を書けることが、「単なるイベント」と「観光DX」の分かれ目です。観光地でのARスタンプラリーの効果とデータ活用の実際は観光地でARスタンプラリーを導入するメリットで詳しく紹介しています。

2026年度要領では、導入後の効果測定と観光庁・事務局への共有を、事業実施年度に加えて事業完了翌年から最大5年間継続する要件も示されました。申請時点で、誰がデータを保管し、年1回の集計を行い、改善を意思決定するかまで決めておきます。

スタンプラリーで書きやすいKPI例

  • 参加:ユニーク参加者数、開始率、年代・居住地など同意取得済み属性
  • 周遊:平均獲得スタンプ数、2地点以上の周遊率、完走率、地点別到達数
  • 消費:クーポン利用数、対象店舗への送客数、アンケートで把握する消費額
  • 再来訪:再訪意向、次回情報配信への同意率、翌年度施策での再参加率

「参加者1,000人」のような総数だけでなく、地域課題と因果関係がある指標を置くのが要点です。たとえば滞在の偏りが課題なら、参加者数より「中心部以外の3地点を回った割合」を主KPIにします。

補助金で何がどこまで作れるか(費用感)

ARスタンプラリーの制作費は、3〜5スポットの小規模構成で20万〜50万円、オリジナル演出を作り込む中規模で50万〜150万円、広域・フルオーダーメイドで150万〜300万円超が実勢です(詳細は規模別の費用相場)。補助率1/2の制度が使えれば、補助対象と認められた経費に対する実質負担は原則として半分になります。当社が自治体・観光協会からご相談を受ける際の肌感でも、最初のステップは100万円前後、手応えを得てからの大規模展開で500万円〜という予算感が多数派です。

ただし、「事業費100万円なら必ず50万円が交付される」という意味ではありません。景品、広報、端末、ARコンテンツ、システム利用料を分け、各費目が公募要領の対象経費に当たるかを確認します。AR制作全般の予算を比較したい場合はAR制作の費用相場と料金早見表も参考にしてください。

参考として、自治体が公共事業として発注する周遊コンテンツでは、青森県八戸市の中心市街地スタンプラリー「ハチノヘウォーカブル」が事業費900万円と地元紙で報道された例があります。観光設計・広報まで含む事業はこの規模になり得ますが、AR体験そのものは数十万円台から設計できるため、初年度は小さく作ってデータで実証し、翌年度に拡大する段階設計が予算的にも採択面でも合理的です。

体験の作り込み例としては、当社が制作した静岡県下田市の遊覧船AR(全長78mの黒船が船上に出現する観光コンテンツ、事例詳細)のように、「その場所でしか体験できないAR」を周遊の目玉に据える設計が、話題化とメディア露出の面で効果的です。

下田港内めぐりARの体験フロー:QRコード起動、毘沙子島付近で海上に全長78mの黒船ARが出現、タップでペリー提督が登場する演出
下田港内めぐりARの体験フロー。QR起動後、航行中に全長78mの黒船ARが出現する設計です。

よくある質問

Q. 民間企業でも観光DX推進事業に申請できますか?

A. 区分(1)の計画申請主体は地方公共団体・DMO・観光協会等です。一方、地域の計画に参加する補助対象事業者には観光事業者・宿泊事業者等も含まれます。一般企業が単独でスタンプラリーを申請するのではなく、自治体・DMO・観光協会等と地域一体の計画を組むのが基本です。宿泊事業者が単独申請できる区分(2)は、宿泊施設の収益・生産性向上が主目的です。

Q. スタンプラリーは確実に補助対象になりますか?

A. 2026年度はデジタルツール例として「スタンプラリー」が明記されました。ただし、個別計画の採択や全経費の補助を保証するものではありません。地域一体のデータ活用計画、対象経費、実施期間などの要件を満たし、当該年度の公募要領と事務局確認で判断してください。

Q. 補助金が出る前に制作を発注してもいいですか?

A. 原則NGです。計画採択の通知だけでも着手できず、その後の交付申請を経て交付決定を受けてから契約・発注します。交付決定前に発生した経費は補助対象外です。ただし、申請前の概算見積もり取得や仕様の相談は経費積算のために行えます。

Q. 何から始めればいいですか?

A. ①解決したい地域課題の言語化、②自治体・DMO・観光協会と参加事業者の体制づくり、③取得データとKPIの設計、④概算見積もりの取得、⑤前年度公募要領の読み込み、の順です。公募前にここまで済ませ、最新要領が出たら差分だけを直せる状態を目指します。

Q. 申請書の作成も依頼できますか?

A. 申請主体は自治体・団体ご自身になりますが、当社は制作パートナーとして、申請に必要な仕様書・概算見積もり・KPI設計(取得できるデータ項目の整理)の作成に協力できます。構想段階からお気軽にご相談ください。

まとめ:公募の半年前から動くのが勝ち筋

デジタルスタンプラリーに使える制度は、観光DX推進事業(2026年度は補助率1/2・上限1,500万円)、自治体向けの地域未来交付金、そして都道府県・市区町村の観光振興補助金の3層があります。2026年度の観光DX推進事業は終了しており、次回公募は未発表です。だからこそ、制度待ちではなく準備を先に進めます。

  • 公募半年前まで:課題整理・関係者合意・データ活用方針・概算見積もり
  • 公募開始後:最新要領と対象経費を照合し、申請書を確定
  • 採択後:交付申請を行い、交付決定後に契約・制作・実施
  • 実施後:実績報告に加え、決めたKPIを継続測定して翌年度へ反映

TOBIDASEは、観光地・商店街でのARスタンプラリー制作の実績をもとに、補助金申請に使える仕様書・概算見積もり・KPI設計の段階からお手伝いしています。「次回公募に向けて構想を固めたい」という段階のご相談も歓迎です。お問い合わせフォームからお聞かせください。概算見積もりは無料です。

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