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周遊型イベントのKPI設計|回遊率・完走率の目安と改善策

2026/7/29

結論を3行で

周遊型イベント(スタンプラリー・街歩き・謎解きなど)は、参加者数だけを追っても地域の成果にはつながりません。回遊率と完走率を分けて測り、どこで人が止まったかを見ることが、次の企画を良くする出発点です。

周遊型イベントのKPI設計3原則。KGIから逆算する、回遊率と完走率を分けて測る、数字を次の企画へ返すの3点をまとめた図
KPI設計の基本は、KGIからの逆算、回遊率と完走率の分離、改善サイクル化の3つ。
  • KGI(来街者数・消費額・再訪など事業成果)を先に決め、そこから参加→回遊→完走→成果のKPIツリーを逆算する。
  • 回遊率(どれだけ広く歩いたか)と完走率(最後まで巡れたか)は別指標。完走率の目安は30%前後で、離脱は序盤に集中する。
  • 地点別の取得数と離脱箇所を見て、動線・地点数・特典を次回へ返す。数字は集めて終わりにせず、意思決定に使う。

KGIから逆算してKPIツリーを設計する

KPIは、イベントが終わってから眺める通知表ではありません。企画段階でKGI(最終目標)から逆算して決めておくと、地点数・特典・計測方法の判断がぶれなくなります。まず「このイベントで最終的に何を増やしたいのか」を一つに絞ります。

KGI(来街者数・観光消費額・再訪)を頂点に、集客・回遊・完走・成果の4段でKPIを並べた周遊型イベントのKPIツリー図
KGIを頂点に、集客(参加者数)→回遊(回遊率)→完走(完走率)→成果(消費額・再訪)を4段で並べる。

KGIは「参加者数」ではなく事業成果に置く

参加者数は大切な指標ですが、それ自体はゴールではありません。観光庁は、DMO(観光地域づくり法人)の最終目標(KGI)を旅行消費額と位置づけ、その拡大には消費単価の向上・滞在日数の増加・来訪者数の管理・需要の平準化が必要だと整理しています(2025年4月に新しいKGI・KPIの手引書を公開)。周遊型イベントでも、来街者数・二次消費・再訪意向のように、地域の成果へつながる数字をKGIに置くと、稟議や報告の説得力が増します。

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稟議では上位指標への仮説を添える「回遊率が上がれば立ち寄り店舗が増え、二次消費が伸びる」のように、KPIがKGI(観光入込客数や消費額単価)へどうつながるかの仮説を1行示すと、企画が通りやすくなります。

KPIは4段(集客・回遊・完走・成果)で並べる

KGIの下に、①集客(参加者数・参加開始数)②回遊(回遊率・平均立寄り地点数・滞在時間)③完走(完走率・地点別到達率)④成果(二次消費額・UGC投稿数・再訪意向)の4段を置きます。段でそろえると、「参加は多いのに完走が低い」「回遊は広いのに消費に届かない」など、ボトルネックがどの段にあるかを特定できます。効果測定の実務全般はARマーケティングのROIと効果測定の考え方もあわせて確認してください。

主要KPIの早見表

周遊型イベントでよく使うKPIを、見る観点・目安・改善レバーの順に整理します。目安は絶対値の全国平均ではなく、自前のベースライン(平常時・前回)と比べるための出発点として使います。

KPI何を見るか目安・考え方主な改善レバー
集客参加開始数告知が届き参加を始めた人数分母。告知チャネル別に把握告知・入口の分かりやすさ
回遊回遊率/平均立寄り地点数どれだけ広く歩いたか自前の式で前回比。統一式なし動線設計・地点配置
完走完走率最後まで巡り条件を達成した割合目安30%前後地点数・段階特典・序盤の易しさ
回遊滞在時間会場・エリアに留まった時間移動手段や動線で変動休憩・撮影スポットの配置
成果二次消費・再訪意向・UGC回遊の先の事業成果KGIへ直結。アンケート併用特典設計・店舗連携・撮影動機

回遊率とは?定義と3つの測り方

回遊率は「1回の来訪で、来街者がエリアをどれだけ広く・深く回ったか」を表す考え方です。ただし業界で統一された計算式はなく、施設や地域の規模・業態によって構成する指標が変わります。まず定義を自分たちで決め、測り方を用途に合わせて選ぶことが実務の第一歩です。

回遊を測る3つの手段。QRコード、GPS・位置情報、Wi-Fi・カメラの向く場所・分かること・注意点を比較した図
回遊の測定はQR・GPS・Wi-Fi/カメラを地点の性質で使い分ける。統一式はなく自前比較が基本。

私たちTOBIDASEは、観光地から音楽・エンタメまで幅広いAR施策で「体験の後にどれだけ反応が生まれたか」を計測してきました。周遊の成果を数字で捉える発想は、次のような実績の積み重ねから来ています。

3.5億回ARエフェクトの累計再生実績
78m下田・黒船ARを原寸で再現した周遊型AR
200万回はてな新曲TikTok施策の合計再生
出典:自社実績・受注データ

回遊率に業界統一の計算式はない

回遊率は、複数エリアへの到達率、平均立寄り地点数、ゾーン間の遷移率、平均滞在時間などを組み合わせて表します。業態や立地で大きく異なるため、断定的な全国平均を示すのは危険です。現実的なのは、自施設・自地域の平常時データをベースラインにして、曜日別・時間帯別・前回比で見る方法です。周遊型イベントなら「平均立寄り地点数÷全地点数」のように、まず一つの式に決めて継続的に比較します。

QR・GPS・Wi-Fiで通過データを取る

デジタルスタンプラリーの強みは、「誰が・どのチェックポイントを・どの順で・何時に回ったか」を1人1行のデータとして残せることです。人流の測り方は大きく分けて、通過数を数えるカウント、混雑や滞在を見る滞在データ、移動元と先を見るODデータ、詳細な移動軌跡の4種類があります。地点の性質でQR(店頭・施設内)、GPS(屋外の無人地点)、Wi-Fiパケットやカメラ(面の人流)を使い分けます。取得方式を増やす場合も、参加者向けの説明は画面上で統一し、現場の負担を増やさないようにします。

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「取れるデータ」から設計を始めない高度な計測機器を先に決めると費用が膨らみます。まずKGI・KPIを決め、その数字を得るのに最低限必要な取得方式を選びます。多くの周遊型イベントは、地点別のQR取得数だけでも動線改善の判断ができます。

完走率の目安と、離脱はどこで起きるか

完走率は、参加者のうち全地点を巡り景品条件を達成した割合です。「参加は多いのに完走が低い」ときは、地点が多すぎるか動線が悪いサインです。まず目安を押さえ、次に「どの段で落ちているか」を見ます。

完走ファネル図。参加開始100%から序盤の地点突破を経て完走は目安30%へ。序盤離脱が最大で、3地点集めた人は80%超が完走する事例を示す
離脱は序盤に集中する。序盤さえ越えれば完走率は高くなるため、打ち手は「序盤を軽くする」。

完走率の目安は30%前後

デジタルスタンプラリーの解説では、完走率は30%程度にとどまる傾向があり、失敗要因はスポットの欲張りすぎ・特典が地味・告知不足だと指摘されています(出典:てくてくスタンプ「スタンプラリーを成功させる工夫」、2026-07-29閲覧)。一方で設計次第では大きく上振れします。ある地域イベントでは達成率45.5%、再参加意向89.6%を記録した実測事例も公開されています(出典:COCOAR「デジタルスタンプラリー成功事例」、2026-07-29閲覧)。目安は自己判断の物差しとして使い、最終的には自前の前回比で評価します。

離脱は序盤の地点に集中する

同じ事例では、スタンプを3個集めた参加者の80%以上が6個すべてを完走したと報告されています。これは、離脱が序盤に集中し、序盤さえ越えれば走り切りやすいことを示しています。だから完走率を上げる打ち手は「全体を難しくしない」ではなく「最初の1〜3地点を軽くする」ことに絞れます。最初の地点を分かりやすく近くに置き、少ない地点数で参加賞に届く設計にすると、序盤の脱落を減らせます。

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完走率だけを追わない完走率は結果指標で、どこで止まったかを教えてくれません。地点別到達率(各地点まで到達した人の割合)を並べると、迷いやすい地点・遠い地点・営業時間の短い地点が浮かび上がり、改善が具体的になります。

回遊率・完走率を上げる改善策

数字を良くする打ち手は、地点数・特典・動線・計測の4点に集約できます。いずれも「参加しやすさ」と「回遊させたい狙い」の両立が軸です。ここでは実案件の設計とあわせて、定石を整理します。

下田港内めぐりARの体験フロー。QRで起動し、航行中に海上へ全長78mの黒船ARが出現、タップでペリー提督が登場する周遊型ARの企画資料
下田港内めぐりARの体験フロー(実施案件の企画資料)。QR起動→眼前の海上に全長78mの黒船AR→タップで演出、と地点ごとに体験差を設けている。下田・黒船ARの制作実績

地点数は「任意◯地点でゴール」にする

地点数の目安は用途で変わり、会場内なら3〜5、商業施設・商店街なら4〜7、観光の周遊型なら5〜10程度が扱いやすい範囲です。参加意欲と達成感のバランスは7〜10地点あたりが良いとされますが、それ以上に増やす場合は「全制覇」ではなく「任意5地点でゴール」のように条件を緩め、完走率を保ちます(出典:リピツー「スタンプラリーは何スポット・何日間・どんな景品が最適か」、2026-07-29閲覧)。地点を増やすほど回遊は広がりますが、移動負担が完走率を下げるトレードオフを意識します。

段階インセンティブで完走の手前をつくる

景品条件を「全地点達成」だけにすると、短時間の来街者や子ども連れが途中で離脱します。「3地点で参加賞→5地点で抽選応募→全地点で特別特典」のように段階を設けると、参加しやすさと回遊の両方を作れます。序盤で小さな成功体験を渡すことが、前述の「序盤の離脱」を直接減らします。特典は数だけでなく、その地域・店舗ならではの内容にすると、次の地点へ歩く理由になります。

動線は環状にし、離脱地点を実測で直す

入口近くと人気地点だけに寄せると、参加者は同じ区画を往復して終わります。入口・主通り・脇道・奥の目的地・ゴールを輪になるように配置し、離れた地点を最低1つ含めます。ただし移動時間は地図上と体感で差が出るため、実際に歩いて所要時間と分かりにくい箇所を確認し、雨天時の代替ルートも用意します。各地点に撮影スポットやクイズなど体験差を設けると、スタンプ集めが街の発見に変わります。下田の事例のように、地点ごとに演出を変える設計は観光ARスタンプラリーの企画でも有効です。

数字を次の企画へ返す改善サイクル

最初から複雑な分析レポートは不要です。参加開始数・地点別取得数・完走数・特典交換数の4つがあれば、告知・動線・難易度・特典運用のどこを直すか判断できます。数値の落ち込みと、現場の巡回メモ(QRが反射していた、店が臨時休業だった等)を並べると、次回の改善が具体的になります。KPIは集めること自体を目的にせず、地点を残す・移す、説明を短くする、特典条件を変えるという次の意思決定へ返します。

よくある質問

周遊型イベントのKPIについて、自治体・DMO・商店会・イベント主催者から出やすい質問を整理します。

周遊型イベントのKPIに関する4つのよくある質問。回遊率の計算、最適な地点数、売上との結びつけ、最低限見る数字をまとめた図
回遊率の計算、地点数、売上との接続、最低限のKPIの4つを整理。

回遊率はどう計算すればよいですか?

業界で統一された計算式はありません。周遊型イベントでは「平均立寄り地点数÷全地点数」など、自分たちで一つの式を決めるのが実務的です。重要なのは全国平均との比較ではなく、自前の平常時や前回との比較です。地点別の取得数を並べれば、どの地点で回遊が伸び悩むかも同時に分かります。

チェックポイントは何か所が最適ですか?

用途によりますが、会場内で3〜5、商店街で4〜7、観光の周遊型で5〜10が扱いやすい範囲です。参加意欲と達成感のバランスは7〜10地点程度が良いとされ、それ以上は「任意◯地点でゴール」に切り替えて完走率を維持します。地点を増やすと回遊は広がる一方、移動負担で完走率が下がるため、目的に応じて調整します。

KPIを売上と結びつけられますか?

厳密な売上連動が難しい場合は、代理指標を残します。参加店への短い事後アンケートで「新規客との会話があったか」「普段来ない年代が来たか」を同じ選択肢で聞けば、店舗間で比較できます。二次消費額・再訪意向・UGC投稿数を成果KPIに置き、KGI(消費額・来街者数)への仮説とセットで報告すると、費用対効果の説明がしやすくなります。費用の考え方はARスタンプラリーの費用相場を参照してください。

最低限どの数字を見ればよいですか?

参加開始数・地点別取得数・完走数・特典交換数の4つから始めます。この4つで、告知の効き具合、動線のどこで止まるか、難易度が適切か、特典運用に無理がないかが判断できます。慣れてきたら滞在時間や再訪意向を加え、回遊率や二次消費まで広げていきます。

まとめ:相談前に決める3点

周遊型イベントのKPI設計は、難しい分析より「先に何を測るか決める」ことが成否を分けます。相談やベンダー比較の前に、次の3点を決めておくと、必要な機能・地点数・費用の比較が一気に速くなります。

周遊型イベントの相談前に決める3点。KGI(何を増やすか)、地点(歩かせたい場所)、指標(何で測るか)をまとめた図
出発点は、KGI・地点・指標の3点。ここが決まれば必要な機能とKPIを絞り込める。

TOBIDASEでは、周遊型イベントやデジタルスタンプラリーの企画から、動線設計、WebAR・ARコンテンツの制作、地点別データの取り方まで一貫して支援します。地点数・期間・特典が未確定でも、KGI・地点・指標の整理から一緒に始められます。費用感の目安はAR制作の費用相場、商店街での運営設計は商店街デジタルスタンプラリーの少人数運営ガイドもあわせてご覧ください。

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